GIMER-STICK

エポキシのブログ

ウキを作る

自作のウキ

釣具にもいろいろありますが、そのなかで最も簡単に作ることができるのはウキではないでしょうか。
ウキは、釣り糸(ライン)にくっついていて水に浮きさえすればよい。かなり乱暴な言い方だけど、私はそんなもんだと思っています。
市販の中通しウキなどはかなり高価なものもあるけど、私のような素人にはそんな高価なウキは必要ない。
私もさかな釣りは好きで、ウキもたくさん持っていますが最近はほとんど買うことがありません。ほとんど自作のウキを使っています。
買ったものはほとんど自作のための研究用です。

エポキシを使うとかなりいいウキが作れます。
ルアーなんかに比べるとはるかに簡単です。

なお、このサイトの主旨はあくまで「エポキシ」。
ですから、はなしはエポキシを使った作業が中心になります。
ウキのデザインのこととか浮力調整の方法とか力学理論などについては触れませんのであしからず。

(1)ウキの材料

材料は木材を使います。
材種は何でもかまいませんが、加工するには材質が緻密で均一な木材が適しています。
基本的には、浮力を大きくしたい場合は密度(比重)の小さい木材を、浮力を小さくしたい場合は密度(比重)の大きい木材を使えばよいでしょう。
もちろん内部にオモリを入れて浮力の調整をすることもできます。

ここで作るのは「中通しウキ」あるいは「環付きウキ」と呼ばれるものです。
中通しウキの場合、最初に中心の穴を開けておくのがよい。成形後に中心にきれいに穴をあけるのは結構難しいからです。
環付きウキの場合でも、中通しウキと同様に貫通した穴を開けておく方が旋盤での作業はやりやすいかもしれません。上の穴はあとで塞げばよいだけなので簡単なことです。

さて、ウキを作るには旋盤がぜひとも欲しいところです。旋盤なしではきれいな形に成形するのはちょっと難しいでしょう。
旋盤がない場合、電動ドリルなどを使って工夫している人もいるようです。

中心に穴をあける 材料を旋盤にセットする

(2)ウキの成形

材料を旋盤にセットします。
荒削りから始めてきれいに成形していきます。
刃物での成形が完了したら、最後にサンドペーパーを当てて研磨します。
ここではどういった刃物を使うとか成形の方法については本題から外れるので省略します。

荒削り ウキの形に成形する
成形ができた

右は、まだ両側にミミが付いていますが、ひとまず成形が完了した状態です。
ミミはきれいに切り離して成形完了となります。

同じ形のものを複数作りたい場合は、厚紙やプラ板で型を作り、合わせながら成形するとよいでしょう。

(3)下塗り

下塗りしたウキ

エポキシで下塗りを行います。
下塗りの目的は、木地表面の強化、防水・耐水性の向上、次の工程の色付けのための下地を作ることなどがあります。

エポキシは シルバーチップエポキシ を使っています。
シルバーチップエポキシは扱いやすくコーティングにはおすすめです。ルアーやエギなどにもおすすめです。
私はシルバーチップエポキシで下塗りから最終コーティングまで行っています。

さて、塗る前に準備しておくものがあります。ウキの穴に差し込んで持つための棒です。私の場合は、使い切ったボールペンの芯(プラスチック製)などを使いました。エポキシで接着しにくい材質のものを使いましょう。
まず、穴の内部にエポキシを塗ります。塗るといってもブラシなどで塗るわけにもならないので、細い棒や針金などにエポキシを付けて穴の内部に塗り付けるようにするとよいでしょう。
持ち手となる棒を穴につけます。
ウキ全体にエポキシを塗ります。エポキシの塗布にはグルーブラシを使うと具合がよいです。
染み込みやすい所はエポキシをたくさん吸収します。しばらく時間をおいてから、染み込んでいるところにはさらにエポキシを塗ってやります。必要ならば、十分にエポキシが染み込むまで繰り返して塗ります。
エポキシの塗布がすんだら、写真のように横にして硬化させます。立てた状態ではエポキシが棒を伝って下に流れてきます。全部くっついてしまって大変なことになります。
塗りたてのエポキシは垂れますので、ときどき回転させてやることよいでしょう。できるだけ均等にエポキシが付いている方が望ましいですね。
しばらくするとエポキシはゲル化して垂れなくなってきます。塗り終わったからといって放りっぱなしにせず、しばらくは様子を見続けるようにしましょう。

グルーブラシはこちらで扱っています。⇒ 「ヒロウッデンカヌーショップのサイト」

(4)下塗りの研磨

下塗りのエポキシが完全に硬化したら研磨します。
通常の温度では1-2日でカチカチになるでしょう。
ただし、温度が低いときは硬化が遅くなりますので注意してください。カチカチに硬化していないと研磨くずが粉状にならないのでサンドペーパーがすぐに目詰まりしてしまいます。
急ぐのでなければ1週間くらい置いておくとよいでしょう。完全にカチカチになって研磨しやすくなります。

旋盤があればこの作業は非常に簡単です。写真のように旋盤にセットし、サンドペーパーを当てればよいだけです。
研磨の基本は、「粗い目のものから細かい目のものへ」です。
最初は粗い目のサンドペーパー(たとえば100~120番くらい)で荒研ぎし、次に150~220番、最後に320~400番といったように徐々に細かい番手に変えて研磨します。

旋盤がない場合は、手で研磨することになります。この場合、サンドペーパーの裏にウレタンフォームのようなものを当てて研磨すると曲面もきれいに研磨できます。

下塗りの研磨 研磨が終わった状態

(5)色付け

色付け

色を付けます。
ウキは遠くからも見えやすいように明るい蛍光色で塗られているのが普通です。
ただ、明るい蛍光色は隠ぺい力が小さいという性質があります。つまり下の色や模様が透けて見えやすいということです。木の上に直接塗ると色そのものがくすんで鮮やかになりません。また、木目が透けて見えてしまうこともあります。鮮やかに発色させるためにまず白で下塗りをします。
塗装でいうところのアンダーコート、サーフェイサーを塗るのと同じです。
下塗りが十分乾いてから色を付けていきます。好みの色で塗装しましょう。
最後に色の境い目に黒い細いラインを入れると見た目もきれいに仕上がります。ラインを入れるときも旋盤があると簡単です。

ここでは塗料は水性塗料を使っています。もちろんすべて同じメーカーのものです。
できれば同じ銘柄の塗料を使う方がリスクが小さくなります。違う系統の塗料(たとえばラッカー系とカシュー系など)は塗り重ねないのが基本です。
塗料の選択は迷うところですが、必ず前もってテストをしてエポキシの上に塗った時や塗料の上にエポキシを塗った時に問題を起こさないことを確認しておきましょう。

色付け 色付け完了

(6)最終コーティング

塗装が完全に乾燥したら最終コーティングです。
塗装が終わったルアーを直接手で触らないようにしましょう。手の油分が付くとエポキシもはじいてしまします。

最終コーティングも シルバーチップエポキシ を使います。
このとき使うブラシは毛先の軟らかいホビー用の平筆のようなものが適しています。グルーブラシのような毛の固いブラシは仕上げコーティングのようにやわらかく塗装する場合にはあまり適していません。
たくさん塗りすぎるとたれてきますのでほどほどに加減しましょう。
下塗りのときと同じように横にしておき、エポキシがたれて一方に片寄らないようにときどき回転させます。
一回塗りでもそこそこの厚さのコーティングができますが、さらに強くするには塗り重ねるとよいでしょう。エポキシが指触乾燥状態になったら塗り重ね可能です。

最後に穴の周囲などの細かいところを仕上げれば完成です。

最終コーティングしたウキ 最終コーティングしたウキ
●下塗りのエポキシについて

クリヤーコート を使うという手もあります。粘度が小さい分、木材へよりよく染み込むでしょう。クリヤーコートで最終コーティングまで行ってもいいかもしれませんが、粘度が小さいということは塗膜が薄いということになるので、厚い塗膜にするにはシルバーチップエポキシより塗り重ねの回数を増やさなければなりません。

●浮力の調整について

カヌーなどのコーティングは、エポキシの上に保護塗装をすすめています。でもウキやルアーの場合はどうなのか。
私の場合、エポキシ塗りっぱなしがほとんどです。実際、使ってみて変色などほとんど気になりません。日光に当たる時間なんて限られてますからね。
心配な方は、最終コーティングの上に WR-LPU(クリヤー) の上塗りをおすすめします。WR-LPUのエポキシへの保護効果はたいへん優れています。

旋盤での加工方法、浮力について、浮力調整の方法、などなどウキ製作についてさらに詳しく解説したガイド本も計画中です。